私が乗ったガルーダ航空の飛行機は赤道を越え、インドネシアの首都ジャカルタを経由してバリ島のングラ・ライ空港に着陸した。ガルーダ航空ではイミグレーションの係員が乗り込んでいて、飛行中に入国審査を済ませてくれるので、空港では税関の荷物検査だけだ。それも、スーツケースを開けもせずにOKだ。こういうサービスは他の国でもやってもらいたいものだ。


 バリ島には、古くからあるサヌール、サーファーに人気のクタ、高級リゾートのヌサドアと三つのビーチがある。バリ島では自然の景観を保護するために、椰子の木より高い建物は禁止されている。この法律が出来る前に建てられたサヌールビーチにある10階建てのバリビーチホテルが唯一の例外である。近代的なヌサドアのホテルも全て4階止まりだ。


 私はヌサドアのホテルを予約していた。空港から僅か20分足らずの距離だ。東南アジアはどの国も物価が安いが、特にインドネシアは安いようだ。五つ星ホテルのツインルームが1万円くらいだ。若者が多いクタには数百円で泊まることができる安宿が沢山ある。


 セブ島の海を見慣れているせいか、バリ島の海はあまり綺麗とは思えない。といっても海水が汚れているのではない。周りは珊瑚礁ではないので、エメラルドグリーンの海がないだけだ。ヌサドアは砂浜も海水も綺麗だし人も少ない。見渡した砂浜には10人ほどがデッキチェアーに横になっているだけだ。

 バリ島ではほとんどのマリンスポーツを楽しむことができる。それに料金が安い。セーリングをやりにビーチへ行った。ビーチボーイが料金表を持ってくる。日本語で書いてあるが、あまり安くはない。私が断ると別の料金表を持ってきた。先ほどの料金表よりも2割ほど安くなっている。これはリピーター用だろう。再び断ると、今度は英語の料金表を持ってきた。最初の半額だ。いかに日本人が甘く見られているかが分かる。

 バリ島ではオーストラリア人の観光客が圧倒的に多いが、若い日本人女性の観光客も多い。バリ島に住みついている者も多いらしい。東南アジアでは肌の色の白いことが美人の条件のひとつだ。日本では不美人でも東南アジアでは美人なのである。それに、お金も持っているから尚更もてるのだ。それで、彼女達はバリ島中毒にかかってしまうらしい。日本で数ヶ月フリーターをやって蓄えたお金で、1年の残りをバリ島で過ごすことができるのだ。


 インドネシアは国民の90%がイスラム教徒だが、バリ島の住民はほとんどがヒンズー教徒だ。彼等の信仰心は厚く、毎朝、どの家の前の道端にも神様への供え物が置かれてある。古くからの伝統を守り年長者を敬う心は、以前は日本人の美徳だった筈だが、喪って久しい。