南の国での楽しみのひとつに果物がある。中でもタイは果物の宝庫だ。フルーツマーケットには、日本ではあまり見かけない珍しい果物が山積みされている。果物の王様ドリアン、最大の果物ジャックフルーツ、ひげもじゃのランプータン、仏様の頭のような釈迦頭、レイシ、竜眼、ココナツ、日本中でもお馴染のマンゴー、パパイア、パイナップル、バナナなどなど数え上げたら切りがない。

 その中でも私の一番の好物は果物の女王といわれるマンゴスチンだ。赤茶色のピンポン玉よりひとまわり大きい果物だ。両側から押さえつけてふたつに割ると、厚い皮の中には真っ白い実がみかんのように詰まっている。少し酸味があり、甘さも適度で上品な味だ。イギリスのビクトリア女王もこの味をこよなく愛したということだ。

 私が初めてマンゴスチンを口にしたのは随分昔のことだ。それ以来、私はタイに限らず、南国へ行くと真っ先にマンゴスチンを買いにフルーツマーケットへ駆けつけるようになった。しかし、常夏の国とはいっても一年中マンゴスチンがあるわけではない。南国にも雨季と乾季のふたつの季節がある。マンゴスチンは雨季の中頃からが収穫期である。はじめの頃はそれを知らずに乾季にマンゴスチンを探し回ったこともあった。日本では冷凍ものしか売られていないので、本当の美味しさを味わうことができないのは残念なことだ。

左から、ドリアン/ランプータン

 果物の王様といわれるドリアンには二度挑戦してみたが、食べることはできなかった。強烈な臭みとドロッとした黄色い果肉の感触は、どうしても好きになれない。でも、ドリアン愛好者にとっては、この臭みと感触が堪らないのだそうだ。ドリアンの収穫期になるとこれを目当てにタイを訪れる人も多いらしい。臭みといえば、タイ料理にはパクチーという香草が欠かせないが、私にとって、このパクチーの異臭はドリアンの比ではない。しかし、タイの人にとっては、パクチーを入れなければ料理が美味しくならないという。日本で薬味に刻みネギを用いるのと同じようなものなのだろう。

左から、レイシ/マンゴー

左から、グァバ/レエンウー

 世界最大の果物ジャックフルーツは、割った中身はドリアンに似ているが、大きさは2〜3倍はある。大きなものは10キロ以上もある。果肉もドリアンに似ているが、こちらは臭みもないし味も良い。私の好きな果物のひとつだ。私はジャックフルーツが果物の王様だと思う。ジャックフルーツはタイよりもフィリピンの方が豊富だ。セブシティのカルボンマーケットでは、トラック1台分くらいの量のジャックフルーツが路上のあちこちに山積みされているのを見かける。

 レイシは赤い皮の中に白い果肉が入っている直径3センチほどの果物だ。味はマンゴスチンび似ている。タイでは実が沢山ついた枝のままで売られているのを見かける。楊貴妃がことのほか好んだといわれるのだから中国でも採れるのだろう。

 私は大酒飲みの方だが果物も大好きだ。南国ではいろいろな珍しい果物を食べたが、口にしていない南国の果物はまだまだ沢山あるだろう。そろそろマンゴスチンの収穫の季節だ。